12月8日の開戦記念日前後に行う、戦争特集!先週の『焼き場に立つ少年』に引き続き、戦争に関する特集を!
● 帝國の膨張
昭和9年の帝國書院版日本地図帳を使い、日本領土の変遷を考えていく。それにしても、日本国内地図に台湾・朝鮮・樺太・南洋群島が記載されているのは、とても違和感がある。南洋は『我が南洋群島』というタイトルで描かれている。
地図の記載順は、関東から始まり、奥羽に飛び、そこから南下して九州へ。沖縄は、ほとんど記載されていない。次に台湾→北海道→樺太→朝鮮→南洋群島と、かなり変則的。北海道が五図で終了しているのに朝鮮は八図も使っている。
さて、この地図帳の冒頭には、『帝國の膨張』と題し、日本の領土拡大の変遷が描かれている。

「なんで領土が増えたり減ったりするの?」
授業の流れは、こんな感じ。
どうして領土は増えたり減ったりするの?→戦争は何故起きるの?→日本が戦争の道を選択した理由→昭和9年だけでなく、25年・48年の地図で領土を比較してみる。
日露戦争の日本海大海戦では、ほとんど講談調(笑)。

12月8日は「ニイタカヤマノボレ」でお馴染みの開戦記念日。何故、日本は宣戦布告せずに真珠湾を攻撃したのだろう?
子ども達、かなり真剣です。
● 『アドルフに告ぐ』
まずは、手塚治虫からスタート!
「手塚治虫といえば?」
シンキングマップを作り、今日の授業の取っ掛かりを作る。
この中から、戦争に関わるところをピックアップし、どんな風に広がっていくか吟味していく。よし!今日は、これで行こう!ナチスが台頭していた時代と今の日本を比べてみる授業に・・・。哲学者の国分功一郎さんの文章を使う。ほやほやの文章です。
『アドルフに告ぐ』の中から、国分さんが要約した一部分を読みながら、あらすじを考えていく。
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この漫画は、第二次大戦を挟む数十年を生きた3人のアドルフを巡る物語である。その一人、アドルフ・カウフマンは日本人とドイツ人のハーフで日本生まれだが、父親の希望によりヒットラー・ユーゲントを養成するドイツの学校に送られてしまう。ハーフであることに多少の劣等感をもっていた彼は、誰よりも努力して優秀な成績を収める。また、当時彼らに任されていたユダヤ人狩りの仕事にも熱心に取り組む。
ところがある日、アドルフは美しいユダヤ人の少女、エリザに出会う。夜も眠れないほどの激しい恋心を抱いたアドルフは、彼女には生き延びて欲しいと考え、命がけで、エリザとその家族を国外逃亡させる計画を練る。彼女たちが住む地区で、まもなくユダヤ人の一斉摘発が行われることをアドルフは知っていたからである。
アドルフはエリザとその家族に計画を伝える。ところが、エリザの父親はこの計画に真面目に取り合わない。彼は、ユダヤ人狩りがあっても自分たちは大丈夫だと考えているのだ。
「わが、ゲルトハイマー商会はゲーリングにも要請され、たびたび政府の事業に協力してきた。あのオリンピックの諸施設もそうだ! ナチス政府はうちの会社を必要としているんだ」
「何度もユダヤ人狩りはありましたがね、うちはある理由があって常に除外されとるんです。今度も同じですよ」
アドルフは当然そんな言いぐさには納得できない。彼は次の一斉摘発が徹底的なものであることを予感していた。仕方なく彼は強硬手段に出る、銃で脅し、用意したトラックに彼らを無理矢理に乗せたのである。スイスを経由して日本に渡らせる。そして神戸にいる友人のアドルフ・カミルのもとに届けるというのが彼の計画した亡命プランであった。
家族はこの計画に対して半信半疑である。母親も言う。
「銀行預金も不動産も全部うっちゃったまま逃げるつもりかしら」
ナチスから酷い辱めを受けたエリザ自身は、この町にはもう留まりたくないと亡命に前向きになっていたが、そのエリザに対して母親はこう言うのである。
「これは父さんが正しいわよ。第一、着のみ着のままで亡命だなんてふざけてるわ」
しかし彼らはトラックに乗り込んだ。アドルフはエリザに言う。
「好きだ、エリザ。いつか
きっと日本で会おう」。
数日後、ユダヤ人の一斉摘発が行われる。アドルフは教官から、エリザたち家族を家から追い出すように命じられる。「どうせもう空き家だ」と言って扉を開けるアドルフ。ところが、何ということであろう、扉を開けるとそこにはエリザの家族がいた。
「あッ!! なぜ舞い戻って来た!? なぜなんだーッ」
——そう叫んだアドルフにエリザの父は答える。
「いや、なに
残してきた金をスイスの銀行口座に移そうと思ってな
ちょっと戻ったんだよ、君」
その後はアドルフが予想していた通りであった。エリザの父親はナチスの隊長にゲーリングからの手紙を見せて、今回も見逃してくれと願い出るが、隊長はそんな訴えには見向きもしない。家族は収容所送りになる。ただ、アドルフには希望が残された。エリザだけはこの街に戻ることを拒否し、スイスに留まっていたのである。彼女は後に一人で日本に亡命することになる
。
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一読総合法の手法で部分読みしていく。
「アドルフが逃亡の話をした時、エリザ達はどうしだろう?」
「エリザの父は、どうして真面目に取り合わなかったのだろう?」
こんな感じでストーリーを追いながら、結末を考えていく。
話は、どんどん広がっていく。
映画『サウンドオブミュージック』、フレネの国際会議で訪れたポーランドのクラクフ、そしてオイシェンチム(アウシュビッツ)の話。
国分さんはこういう。
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最終的な破局は起きておらず、日常生活は続いている。それにもかかわらず、それまでの生活を投げ捨てるという緊急的な行為に出なければならない。これこそが亡命の最大の困難である
ここには、亡命という行為の難しさがこの上ないリアリティをもって描かれている。最終的な破局が起こってからでは亡命することはできない。最終的な破局の後では、人は殺されたり、あるいは難民になったりする。つまり亡命するためには、まだ最終的な破局は起きておらず、日常生活が続いている段階で、危機の訪れを予期し、それを実感をもって感じ取り、その実感をもとにして極めて複雑な手続きと準備を滞りなくすませなければならない。
最終的な破局は起きておらず、日常生活は続いている。それにもかかわらず、それまでの生活を投げ捨てるという緊急的な行為に出なければならない。これこそが亡命の最大の困難である。自分がこれまで作り上げてきた生活を投げ捨てたいなどと願う人間は稀である。破局が訪れたならば、仕方なくその選択肢を受け入れることもできるかもしれない。しかし、破局はまだ訪れていないのだ。確かに日常は少しずつおかしくなっている。だが、明日や明後日に破局が訪れるとは思えない。いや、1週間後にそれが訪れるとも、1カ月後に訪れるとも思えない
。
ならば、誰もがエリザの父親のように考えるだろう。今度も大丈夫さ
今までも大丈夫だったんだから
。
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http://politas.jp/articles/237
さて、ここで問わなければならない。
「今の状況の中で君達はどう生きるのか?」
不気味な足音が聞こえてくる・・・。
● イマジン
「12月8日は開戦記念日だったけれど、ジョン・レノンが暗殺された日でもあるんだよ」
「えっ!暗殺されたの!?」
しみじみと『イマジン』を聴いてみる。

イマジン歌詞
ソース:http://ai-zen.net/kanrinin/kanrinin5.htm
Imagine there's no Heaven It's easy if you try No Hell below us Above us only sky Imagine all the people Living for today...
Imagine there's no countries It isn't hard to do Nothing to kill or die for And no religion too Imagine all the people Living life in peace
You may say I'm a dreamer But I'm not the only one I hope someday you'll join us And the world will be as one
Imagine no possessions I wonder if you can No need for greed or hunger A brotherhood of man Imagine all the people Sharing all the world
You may say I'm a dreamer But I'm not the only one I hope someday you'll join us And the world will live as one |
想像してごらん 天国なんて無いんだと ほら、簡単でしょう? 地面の下に地獄なんて無いし 僕たちの上には ただ空があるだけ さあ想像してごらん みんなが ただ今を生きているって...
想像してごらん 国なんて無いんだと そんなに難しくないでしょう? 殺す理由も死ぬ理由も無く そして宗教も無い さあ想像してごらん みんなが ただ平和に生きているって...
僕のことを夢想家だと言うかもしれないね でも僕一人じゃないはず いつかあなたもみんな仲間になって きっと世界はひとつになるんだ
想像してごらん 何も所有しないって あなたなら出来ると思うよ 欲張ったり飢えることも無い 人はみんな兄弟なんだって 想像してごらん みんなが 世界を分かち合うんだって...
僕のことを夢想家だと言うかもしれないね でも僕一人じゃないはず いつかあなたもみんな仲間になって そして世界はきっとひとつになるんだ |
「この歌、イギリスやアメリカで放送禁止になったんだよ」
「えーっ!なんで?」
その理由をしみじみと考えてみる。
● アドベントカレンダー
「はーい!ぼくからのクリスマスプレゼント♪」
「わーい!」「なんだろ!」
1日からクリスマスの日まで、毎日一つずつ、小窓を開けていく。中には、チョコやキャンディーが!
子ども達のお楽しみ♪
