文京区立新江戸川公園の中にある松聲閣集会室で行われた『第2回親子で楽しむ算数教室』、30名の参加で大盛況でした。今回のテーマは、算数と科学との関連。2つの実験を通して考えました。
松聲閣集会室は旧細川家の学問所。集会室から見える庭も素敵です。
● 実験前の前座
さて、おなじみのWhat is this ? 「これは、何でしょう?」
質問に対し、はい・いいえだけで答えます。
「穴の中に、何か乗せますか?」
「いいえ」
「何か通しますか?」
「はい」
「道具ですか?」
「はい」
「道具の一部分ですか?」
「いいえ」
正答は、出てきません。
これは、何の道具か?実験の最後にわかります。
● 水に浮くもの沈むもの
前回、体積の概念について学んだ。
ものは場所を取る。ものが取った場所の大きさを体積と言う。
今回は、その関連から密度・比重へとシフト!
「水槽の水の中に、いろんなものをぶち込むからね。水に浮くかどうか、あててね♪全問正解者にはステキな商品が出るよ♪」
浮くものには、丸。沈むものには、バツ。
「重いかどうか、持たせて!」
「1円玉は、縦に入れるの?それとも横にそっと入れるの?」
スペシャルゲストは、この季節ならではのタンカン!
意外!タンカンは浮く!
バナナも浮く!
しかし、ジャガイモは沈む!
● 事件が起きた!―さあ、ジャガイモを浮かせてみよう!
「ジャガイモは水分を含んでいるから沈む」
「タンカンやバナナは、ジャガイモよりスカスカしている」
「でもジャガイモより重いよ」
「空気が入っている・・・」
重い軽いの概念・・・、何を基準にしているのか・・・?混乱する子ども、そして、こども達。
こういう時、事件が起きている!と言います。何故だろう?と考え始めているんですね♪
「ジャガイモにたくさん穴をあけて下さい」
「塩を入れてみて」
「砂糖じゃいけないの?」
「う~ん・・・。人間が浮く、塩分が濃い湖があったから」
「ジャガイモをくりぬいて、船みたいにしたら浮くんじゃないかなあ」
「おお~!」
水を変化させる考えとジャガイモを変化させる考え。
ここでできることだけやってみる。
ジャガイモを細かく切っても、沈む。お船の形は浮くけれど、中に水が入ると沈む。
鉄の船がなぜ浮くのか?
そして、どうして沈没するか?
自然に考えようとする。
こういうの、アクティブラーニングって言うのかな?こんなこと。文科省が言うずっと前からやっているよ。
塩をどばどば~!って入れると・・・。
「おお~!」
「浮いたよ!」
この後、大きなペットボトルを半分に切ったものに、お米を入れ、中にピンポン玉を入れておく。
上には同じ大きさの鉄球、そして、お米を入れたピンポン玉。ゆさゆさ揺すると・・・。
「あっ!」
ピンポン玉が浮かび上がり、鉄球は沈む。米の入ったピンポン玉はそのまま米の上。
残念ながら、映像なし・・・。
「この場合のお米は?」
「水!」
同体積のピンポン玉は浮き、鉄球は沈む・・・。
では、なぜジャガイモは沈み、塩を入れると浮いたのか?
何となくわかりそうでわからない・・・。それで十分!事件を起こし、寝た子を起こす。これが授業 ♪
● 釣り合っている大根、重さは?学校知を超える♪
第2ラウンドは、大根やニンジンを使って、考えてみよう!
「大根が釣り合っているね?aとb、どっちが重い?両方とも同じ?」
両方とも同じ重さというのが圧倒的に多い。
どこの学校で授業しても同じ。教員向けの講座でも同じ。
「釣り合っているのだから、同じ重さだと思う」
「太いから、太い方が重たい」
「長い方が重たい」
「シーソーで考えると前に重い人が座って、後ろに軽い人が座っても釣り合うんじゃない?だから・・」
「どうすればいいの?」
「釣り合っているところから切って、はかりではかってみて!」
「こう乗せますか?」
「だめ~。はかりに乗らないよ」
量ってみると、太くて短い方が圧倒的に重たい!
「シーソーと同じだ!」
学校の場合、上のように支点からの距離と重さをかけて釣り合う事を確かめる。かけ算で結果が出ることはわかるが、そのことと大根の釣り合いが結びつかない。学校で得る知識(学校知)の限界だろう。
※ 大根の釣り合いは、高校の積分の考えでその意味が明確になる。
バットの細い方と太い方を二人で持ち、回転させるとどちらが勝つかもやってみた。
太い方が、圧倒的に有利だ。円の中心を支点にして考えると、そこからの距離が長い方が力を使わないことがわかる。
「これって、ドライバーでねじを回すのと同じだよね!」
「車のハンドルも同じじゃない?」
子ども達から、ポンポン意見が出てくる。
● 不思議なやじろべえ
とどめは、これ!
竹串に針金を巻き付け、針金の先におもりがついている。
今、向かって右の手を離すとおもりは、どういう動きをするだろう?
右に回って落ちる。
左に回って落ちる。
そのまま、まっすぐ落ちる。
その他の考え。
「ええっ~!」
「うそ~!」
落ちないんです(^^♪
What is this ? で考えたのも、このやじろべえと同じ!
最後にみんなで作ってみよう!そうしよう!
微妙なところでバランスを取っているね♪
一期一会の授業!楽しい1日でした(^^♪
※ 昨日の朝日新聞be紙面『フロントランナー』で米大統領報道官補佐官ジョシュ・アーネストさん(41歳)が、こう語っていた。
「心がけているのは、会見室でのやりとりは、(勝ち負けを決める)ディベートではないということです。私は、最も効果的で説得力がある形で我々の議論を提示し、大統領が訴える方向性の利点について、人々に判断してもらえるようにしたいと思っています」
授業も然り。必要なのはディベートではなく、共感を得るダイアローグ(対話)なのだ。